top of page

屋根

株式会社 高木

FeED フィード

金属屋根

​金属屋根

素材ごとに特色ある、加工性能・耐久性能と仕上げの美しさ​

金属屋根の世界がそこに

銅は金属の中では比較的重いですが、瓦に比べると10分の1と軽く、また伸縮性・加工性が高く、寺社など高意匠な木造建築の屋根などに用いられてきました。

酸化皮膜を形成し、経過度合いで色・風合いが変化します。

葺きはじめは赤橙色に光る銅の素地の色。

近年の酸性雨により一雨あびると黒く反応しますが、この皮膜は薄く、数か月で褐色から暗褐色に変化します。​

その後数年から数十年して、黒褐色から緑青(ロクショウ)にまで変化すると、塩基性硫酸銅や塩基性塩化銅などの化合物が複合生成されてできる水に溶けにくい緻密な保護膜が形成されていることになります。

ただし、この変化は環境に依存します。

形成した皮膜が弱い間に強い酸の雨、水上に葺かれている瓦から溶けだした釉薬の影響、上屋根からの雨だれなどを受け続けると、皮膜の融解・剥がれが起こり、その後の化学反応まで到達できずに銅自体の流出が止まらず穴があくことがあります。

とはいえ、屋根に使用する金属素材の中でもっとも変化に富んでおり、長年に渡って楽しめる材料です。

銅一文字葺き
チタン
チタン

チタンはゴルフをされる方はよくご存じかと思いますが、非常に軽く、強く、錆びないという特徴をもった金属です。

軽さは、鉄の3分の2、銅の半分程度。

安定した酸化皮膜(不動態皮膜)を形成し、優れた耐食性を有します。この酸化皮膜の厚みを化学的に変化させることで色調を変化させることができます。この色は干渉色といい、被膜の表面で反射する光と、被膜を通る際に屈折してからチタンそのものの表面で反射する光の干渉具合により色相が変わるというものです。

また、強度は鉄とほぼ同等ですし、線膨張係数は、ステンレス、銅の2分の1、アルミの3分の1であり、気温変化による伸縮が少ないです。

あまりに強く、曲げても撓って元に戻るバネ性を有しているため、屋根として使う場合、複雑なものには対応が難しいとされています。

しかし、その常識を覆して建設された例として、大変複雑なチタンのファサードをもつビルバオ・グッゲンハイム美術館があります。「近代建築の巨匠」、「稀代の天才」、「鬼才」と様々な異名をもつフランク・ゲーリーによるものです。

ステンレス

一般的にステンレスとは「錆びない金属」という認識かと思います。

しかし直訳するとstain=汚れ、染み。less=より少ない。ということで、もともと「汚れにくい」という意味合いだったようです。厨房・調理器具や、医療用具などにも使われています。

さて、その錆びにくい、汚れにくい性能はどのように作られているのでしょう。

1910年代のイギリスにて、12% のクロム含有量で鉄が酸腐食に耐えるということが発見されました。

含有するクロムが空気中で酸素と結合することで表面に不動態皮膜を形成し、内部を酸化などから保護しているのです。塗装でないので、剥がれることがなく耐食性を保持できますが、鉄の切子などが表面につくとその肝心の不動態皮膜が形成できず錆びが発生します。

色のバリエーションに富む屋根に使用するものとしては、塗装で着色したものと、チタンと同じく化学的に発色させたものがあります。

どちらも一長一短あります。塗装は塗料に骨材を混ぜて耐疵性をつけたり、熱反射性の顔料を添付することで赤外線の反射率を上げることができます。化学発色は皮膜の厚みで色調を変化させているので、性能はステンレス素地そのものですが、ヘアラインなどの高級感にあふれた美しい仕上げの質感がそのまま得られます。皮膜の厚さが薄い順に茶→青→金→赤→緑→→→→黒と変化します。

化学発色ステンレス
アルミニウム
ガルバリウム
アルミダイキャストルーフ

アルミニウムは軽量な金属として有名です。

同じく軽量で有名なチタンの60%ほどの重量です。

​鉄の35%、銅の30%の重量です。

​チタン・ステンレスと同様、酸化皮膜をもち腐食に強い性質を持っています。

ステンレス同様、塗装による着色と、化学的に発色させることでアルミの素地を生かしながら様々な色が出せます。

柔らかく、加工性に富みますが、伸縮性が乏しく、角度の強い曲げを施すと割れることもあります。

ガルバリウム鋼板とは、上記の単一鉱物または合金材質というものではありません。1972年にアメリカ合衆国のベスレヘム・スチールが開発したアルミニウムと亜鉛の合金めっきを施した鉄板を指す登録商標(「GALVALUME」)です。国内では新日鉄住金が「ガルバリウム鋼板」で商標登録しています。

ガルバリウム登場前の、外装鉄板向けのめっきは亜鉛が主流でした。犠牲防食といい、鉄より卑である亜鉛が先にイオン化することで鉄のイオン化を抑制することと、亜鉛の白錆が鉄表面に定着することで酸素から本体の鉄を保護します。ただ、この亜鉛は水に溶けやすく表面に定着しずらい特徴があります。

ガルバリウムは、アルミニウム55%+亜鉛43.4%+珪素1.6%で構成され、亜鉛の溶けやすい性質をアルミニウムの不動態皮膜で補完することで、高い防錆性能を発揮しています。

ガルバリウム鋼板は上記のようにめっき素地でも高い性能を持っていますが、塗装ステンレス同様、鋼板メーカー各社独自の優れた塗装を施すことで豊富なカラーバリエーションと、耐疵性、耐食性、防汚性、熱反射性を身につけています。

銅ほどではありませんが、加工性も良く、凹凸のはっきりしたプレス加工にも耐えます。

ガルバリウム立平葺き
トタン

トタンの語源はポルトガル語の Tutanaga(亜鉛)といわれ、亜鉛めっきが施された薄鉄板です。

トタンというと思い浮かべるのが、赤く錆びてぼろぼろの波型の鉄板で構成されたバラックの住宅や工場でしょうか。
転じて塩ビやポリカーボネート、ガルバリウム鋼板で作られたナミイタもトタンと呼ばれたりします。材料店はその辺りのニュアンスを汲み取る場面もままあります。

現在はめっき鋼板の主流がガルバリウム鋼板となっているため、出番は少なくなっています。しかし、緩勾配の屋根の壁との取り合いや、加工済みだと長尺過ぎて運び込みや荷揚げが出来ず、現場での加工が必要な谷樋などで、ガルバリウムと違い半田が乗り接合しやすい亜鉛挽き鉄板が利用される場面はあります。

​また、近年ではインドスタリアルな雰囲気から現代アートとして楽しむ文化的な側面も増え、飲食店の看板に使われるなど、機能でない部分での需要もあります。

屋根スレート

粘板岩を薄く削いだ天然スレート

セメントに繊維質原料などを混ぜ、加圧成型した人造スレート

現代洋風建築の定番

屋根スレート

屋根用スレートの技術は、明治時代に洋風建築とともに日本に伝わりました。

当時の屋根用スレートは天然の粘板岩を薄く削いだ石葺きの材料で、12世紀のヨーロッパで発祥したともいわれ、ドイツでも1298年の文献に初めてスレート葺き職人が登場するようです。

建築の中では比較的歴史の浅い屋根葺き材料です。

加工性は難易度が高い部類です。

天然石なので「メ」があり、留め付け釘用の穴あけや、隅棟のために斜めにカットするときなど、メに沿って割れてしまったりと神経をつかいます。

また、重量も瓦よりは軽量ですが、金属や人造スレートと比較すると重い素材です。

とはいえ5億年もの年月を経た素材ですから、醸し出す落ち着きと高級感は替えがたいものです。

天然の石を使用しているため、一枚一枚に表情があり、自然の風合いがあります。色も着色しているわけではないため褪せることはありません。​

天然スレート葺き
天然スレート
カラーベスト

1900年(明治33年)にオーストリアのハチェックが人造スレートである石綿スレートを発明しました。
日本において石綿スレートの需要が拡大したのは、1923年(大正12年)の関東大震災の際です。瓦に代わる軽量屋根材としてトタンの需要が増え供給不足となった為、代替品として石綿スレートが多く使われました。

薄型化粧スレートは、1957年(昭和32年)にジョンマンビル社と旧・久保田鉄工が技術提携を行い、4年後の1961年(昭和36年)に「コロニアル」という商品名で初めて発売されました。

2004年(平成16年)以前の薄型化粧スレート屋根には、アスベスト(石綿)が含まれていましたが、人体に悪影響を及ぼす可能性がある為、現在は使用する事が禁止されており、現在は石綿以外の繊維質を使用した材料が用いられています。アスベストは周囲に飛散しない限り人体に悪影響はありませんので、現状の屋根がアスベスト含有のスレート屋根でも直ちに問題が発生するわけではありません。

現在では、スレートと言えばこの人造スレート指し、本家である天然石によるものを天然スレートと区別しています。

人造スレート
bottom of page